Q1
日本マルコ株式会社や与論事業所の概要について教えてください。
当社は、航空・防衛・宇宙といった極限の環境下から、高い信頼性が求められる医療機器や高速通信、一般産業といった身近な分野まで製品を提供しています。
海外メーカーとの技術連携により、MIL・ESAなど海外規格の製品を国内で生産し、ハーネスアセンブリをはじめとする技術力・開発力により、ご要望に応じてカスタマイズ可能な最高品質の製品を提供しています。
また、製品の多くを国内生産することで、品質保証及び迅速なアフターサービスを実現しています。
小惑星探査機「はやぶさ」やH-ⅡA/Bロケット等に使用されるコネクタからB-787旅客機などに使用されるコネクタといった一般産業まで幅広い分野で数々の採用実績を重ねています。
Q2
与論町への立地の経緯を教えてください。
当社は、航空・防衛・宇宙分野という社会インフラに携わっているので、新たな工場を設立する上で重要な条件が、2点ありました。
1点目は、リスク回避です。グループの製造拠点が横浜、中部日本マルコ(愛知県)と2拠点であり、自然災害等で製造が困難になった場合でも、事業継続ができるよう、地理的リスクの回避の観点から、新たな製造拠点は既存製造拠点と異なる電力管内とするなど、九州又は東北での設立を考えました。
2点目は、地域への溶け込みやすさです。新たに進出するからには、地元の方の協力や雇用がなければ企業は繁栄しないとの考えがありました。
様々な候補地を探している中、インターネットで与論町を知り訪問したところ、豊かな自然と人情豊かな島民の心に癒やされました。また、町も誘致に熱心でありながら、良いことだけでなく包み隠さず実情を説明するなど誠意ある対応を行っていただき、一番熱意をもって受け入れてくれました。
当時社員から「なんでそんなところに?」「大丈夫なのか」といった声もありましたが、やはり、鹿児島県の最南端で離島というハンデがあるところで、最先端・最高品質の電子部品・宇宙製品を作ることで、場所を問わず製品を作れることを社会に証明し、離島の地域活性化の一助となろうとの思いから、与論島に工場設置を決めました。
Q3
御社が行われている地域との関わりについて教えてください。
コロナ禍で3年ほど開催できていませんが、地域住民との交流を図るために毎年8月に「マルコ祭り」を敷地内で開催しています。社員や地域の子ども達も招待し、喜んでいただいています。
また、地元の小学校の社会科見学や要望に応じて、工場見学を行っています。先日も与論小学校の5年生が見学に来てくれました。
さらに、地域の方と話す中で、当社の立地により、子育て世代の雇用が生まれましたが、6~70代の雇用がなかなか島内にないこと、島の主要産業である観光やサトウキビ、畜産(牛)は体力的に厳しくなってくること、新たな島の特産品が求められていることが分かりました。
そのため、当社として島への地域貢献として何かできないかと考え、原産地と与論島の気候が似ていることから、ほろほろ鳥の食肉化事業(孵化から食肉加工まで)を現在行っています。
当初国内では実績がなく、大変苦労しましたが、現在は安定的に出荷できるようになりつつあります。
また、新たな島の特産品として与論町のふるさと納税の返礼品にも使われているところです。
Q4
徳之島にも事業所を立地し、宇宙関連製品を製造していますが、若年層や子育て世代の女性も従業員として多く働いていると聞いています。
離島での操業や人材確保は難しくありませんか?
実際に操業を開始して、地元の与論高校からの採用がなかなか上手くいかなかったこともありましたが、町の広報誌で求人の掲載を行ってもらうなど、町の支援も受けて、現在は人員を確保できています。
当社では、与論島だけでなく、同じ奄美群島にある徳之島の伊仙町にも事業所を設置し、製品の製造や検査を行っています。
伊仙町の事業所においても、伊仙町役場や社員の声かけ、地域住民へのPRなどにより、採用予定数を上回る応募をいただくことができました。
島で安定的に稼ぐことができる職場は貴重なことから、若年層や子育て世代、UIターンの方の採用も比較的しやすいと感じています。
操業にあたっては、製品は沖縄に一度船便で運んでから航空便で輸送していますが、やはり離島ということで、本土に比べると輸送費がかかるところです。
また、台風常襲地帯であり、船が数週間寄港しない場合もあるため、納期を守るため、余裕を持って生産しています。
一方で、与論島から鹿児島や那覇に直行便があり、住民には運賃補助制度もあるため、意外と東京などの都市部にも行きやすく、出張などに不便はありません。
Q5
与論事業所の今後の展望を教えてください。
操業から15年が経とうとしていますが、社員の技術力も高まり新たな挑戦をしていきたいと考えています。
また鹿児島県の最南端で離島というハンデがありますが、最先端・最高品質の電子部品・宇宙製品を作るとともに、地域との交流をさらに深め、より地域に根付くことで、与論島の活性化の一助になりたいと考えています。
また鹿児島県の最南端で離島というハンデがありますが、最先端・最高品質の電子部品・宇宙製品を作るとともに、地域との交流をさらに深め、より地域に根付くことで、与論島の活性化の一助になりたいと考えています。
令和4年11月10日インタビュー実施
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